キャパシタとコンデンサの違い
バッテリーや蓄電装置の種類で、「キャパシタ」や「コンデンサ」などの言葉がよく使われますが、その内容や違いなどが分からないという方も多いのではないでしょうか?
今回は、キャパシタとコンデンサの違い、そしてその本来の意味やその種類についてご紹介します。
キャパシタとコンデンサの違い
キャパシタもコンデンサも英語表記するとCapacitorであり、本来は同じ意味で用いられてきました。
ところが、最近では電気二重層容量を利用した電気二重層キャパシタ(EDLC)や、EDLCとリチウムイオン二次電池のハイブリッドタイプのハイブリッドスーパーキャパシタ(HSC)など、大容量のものをキャパシタと呼び、従来の積層セラミックコンデンサやアルミ電解コンデンサといった小容量のものと区別する風潮にあります。
コンデンサは、同じキャパシタでも、電子回路や電源回路等でよく使われる電気を蓄えたり放出したりする小型の電子部品のことを指す場合が多く、特に電子回路で使われる場合は、蓄える静電容量は非常に小さく、μF(マイクロファラド)、pF(ピコファラド)などといった単位を使うこともあります
キャパシタとは何か?
では、そもそも、キャパシタとは何でしょうか?
キャパシタとは、電気を蓄えて放電できる蓄電装置のことで、日本語では蓄電器と訳されることが多いようです。
蓄電装置と聞くと、いわゆるアルカリ電池やリチウムイオン電池のような電池を思い浮かべる方のほうが多いかも知れませんが、両者には大きな違いがひとつあります。
それは電気を蓄える際に化学反応が起きるかどうかです。
電池とキャパシタの違い
電池では、電気を蓄えたり放出したりする際に、化学反応が起こり、もとからあった物質が別の物質へと変化します。
それに対してキャパシタでは、電気は電極の表面に静電気の力で蓄えられ、化学反応は使われませんので、物質の変化も起こりません。
蓄電や放電が電極の表面だけで行われるため、電池に比べ、蓄えられる電気の量は限られますが、化学変化、物質の変化を伴わない分、素早い電気の出し入れができ、繰り返して使用しても劣化しにくいという特長があります。
キャパシタと電池はそれぞれ、これらの特長を活かせる分野で使い分けられています。
大容量キャパシタの種類
キャパシタには幾つかの種類があります。
ここではコンデンサとの違いで説明した、大容量のものを対象に解説します。
キャパシタの分類の仕方は、その目的によっても異なりますが、下記にその一例を示します。キャパシタは大きく対称型のものと非対称型のものとに分けられます。
EDLC
対称型キャパシタの代表が電気二重層キャパシタ(EDLC)で、正極、負極ともに活性炭が使われています。製品化されたのは1970年代後半と歴史は古く、完全放電して使えるなど、使い勝手のよさもあって、グローバルに広く普及しているキャパシタです。
一方の非対称キャパシタは、主に片側の電極は活性炭を使いながら、他方の電極に化学反応を利用するなどしてEDLCの静電容量の向上を目的に様々な種類が提案されています。その多くは完全放電できないため、取り扱い上の違いから、国連の輸送規制上も対称キャパシタと区別されています。
ハイブリッドスーパーキャパシタ(HSC)
非対称キャパシタの代表的なものにハイブリッドスーパーキャパシタ(HSC)があります。
正極の反応にEDLCの、負極の反応にリチウムイオン電池(LIB)の反応を利用したハイブリッドタイプのキャパシタです。これによって、EDLCの特長である高速充放電性、長期信頼性、安全性と、リチウムイオン電池の特長である高容量とを兼ね備えたデバイスとなっており、今後の幅広い普及が期待されています。
※写真は弊社の蓄電デバイスです。
キャパシタとコンデンサの違いまとめ
いかがだったでしょうか?本稿では、キャパシタとコンデンサの違い、さらに特に大容量のキャパシタの種類についてご紹介しました。
弊社では本稿でもご紹介したハイブリッドスーパーキャパシタの開発・製造を行なっております。興味のある方はご参考にしてください。
※ 本ブログの記述は、執筆者の経験による解釈や、主観的な意見を含むことをご理解お願い致します。また、本ブログに記載されている技術情報は、当社および第三者の知的財産権他の権利に対する保証または実施権を許諾するものではありません。