金属酸化物
金属酸化物は、エネルギー貯蔵デバイスや先端電子機器において革新的な役割を果たす多機能材料です。その多様な電気化学的特性と構造的安定性により、次世代技術の中核を担っています。
リチウムイオン電池の正極材料として、層状構造を持つNMC(ニッケル・マンガン・コバルト酸化物)やスピネル構造のLMO(リチウムマンガン酸化物)が広く使用されています。これらの材料は、高エネルギー密度と優れたサイクル特性を実現しています。
スーパーキャパシタの電極材料としては、RuO2(酸化ルテニウム)やMnO2(二酸化マンガン)が注目されています。擬似キャパシタンス効果により、高い比容量と急速充放電特性を示します。
透明導電膜としては、ITO(インジウムスズ酸化物)が液晶ディスプレイやタッチパネルに不可欠です。最近では、希少金属フリーのAZO(アルミニウムドープ酸化亜鉛)も開発されています。
ガスセンサーやバイオセンサーには、SnO2(二酸化スズ)やZnO(酸化亜鉛)などのナノ構造金属酸化物が利用されています。高い感度と選択性を持ち、IoTデバイスへの応用が期待されています。
触媒材料としては、TiO2(二酸化チタン)が光触媒として環境浄化や水素製造に活用されています。ナノ粒子化やドーピングにより、可視光応答性の向上が図られています。
金属酸化物の設計・合成技術の進歩は、エネルギー変換効率の向上や新機能デバイスの創出につながり、持続可能な技術革新の基盤となっています。