燃料電池フォークリフトにおける補助電源
対象業種
- 【製造業】フォークリフト・建設機械
- 【運輸業】物流・倉庫・輸送
課題と背景
政府は水素社会実現に向けた基本戦略において、2030年に燃料電池フォークリフトを1万台普及させることを目標に掲げました。
フォークリフトは製造業や物流倉庫に必須の運搬装置であり、世界では年間約100万台の市場規模と言われています。日本だけで約1万台の需要があります。今後、eコマースの発展などでますます需要が高まると予想されています。
従来、フォークリフトはガソリンなどのエンジン駆動のものが主流ですが、エンジン音と排気ガスが大きな課題となっています。倉庫という室内で使われる事が多く、作業環境の観点から特に欧米では蓄電池式のフォークリフトが増えています。米国ではすでに燃料電池式フォークリフトが1.5万台以上稼働していると言われています。
燃料電池式の課題として、回生エネルギーを活用できない、負荷変動に対する応答性が低く劣化が加速されるというデメリットがありますが、高出力の補助バッテリを積むことでそれらのデメリットを補完することができます。
ハイブリッドスーパーキャパシタ(HSC)の特徴と技術的優位性
ハイブリッドスーパーキャパシタは、高い入出力特性、長寿命、高い安全性という特徴を有しており、燃料電池の持つ、高容量だが負荷変動に弱い、という弱点を補うことができます。
高い入出力性能
- フォークリフトのように、急発進、急停止、重量物の昇降といった負荷変動の激しいアプリケーションにおいて、燃料電池+ハイブリッドスーパーキャパシタの電源システムにより、長時間稼働は燃料電池、負荷変動はハイブリッドスーパーキャパシタが担うことで、環境負荷の少ない、理想的な電源システムを実現できます。
長寿命
- 燃料電池の出力変動を抑制することで、燃料電池の劣化を抑制すると共に、ハイブリッドスーパーキャパシタ自身も長寿命のため、電源システムのメンテナンスの手間と交換頻度を大幅に削減可能です。
高い安全性
- 水素燃料を使用する燃料電池において、万が一にも発火することは許されません。ハイブリッドスーパーキャパシタは正極が活性炭なので、LIBに使われる金属酸化物の様な熱暴走が生じません。
蓄電デバイス比較表
ハイブリッドスーパーキャパシタ(HSC) | リチウムイオン電池(LIB) | 電気二重層キャパシタ(EDLC) | 鉛蓄電池 | |
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電圧 | ◎ | ◯ | △ | △ |
エネルギー密度 | ◯ | ◎ | △ | ◯ |
安全性 | ◯ | △ | ◯ | ◯ |
寿命 | ◎ | △ | ◯ | △ |