医療・介護の車椅子搭載電池
対象業種
- 【製造業】セニアカー、車椅子メーカー
- 【製造業】介護ベッドメーカー
課題と背景
日本が高度な高齢化社会に入り、高齢者が益々増えていくに伴い、車椅子や介護ベッドなど高齢者をターゲットとした電動化製品の種類は年々増えています。各社が新製品を次々に発表するなど、その多様性と利便性も向上しつつあります。
また、介護以外の分野でも、いわゆる元気な高齢者の活動をサポートする機器が増えてきています。例えば、高齢者の移動・活動を促すだけでなく、自動車運転による事故の減少などにもつながるという観点から、経済産業省も電動車いす等の普及の促進をサポートしています。
さらに、近年の高齢者による自動車事故の増加傾向もあり、運転免許証を必要としないシニア向け電動車(いわゆるセニアカー)の需要も増えています。
それらの高齢者用の電動車椅子や電動歩行補助車などの電動モビリティー機器の蓄電装置には、鉛電池やリチウムイオン電池が搭載されることが多いです。
一方で、消費者庁のリリースにおいても電動アシスト自転車用やリチウムイオン内蔵充電器などリチウムイオン電池の不具合に起因する事故の発生が何件も報告されており、こうした高齢者用のモビリティー機器の利用において、火災や不測の事態への対応が難しいことも想定される高齢者ユーザーの安全を確保することは、喫緊の課題となっています。
またリチウムイオン電池や鉛電池の場合、一定期間が経つと交換する必要性が出てきますが、電池自体の重量が重いため高齢者には扱いづらいという課題に加え、交換タイミングの見極めも難しく、そのメンテナンス費用や交換や修理の手間がかかるという課題もあります。
こうした背景から、発火などの危険性が少なく、利便性という観点でも、修理やメンテナンスの必要性がほとんどなく、安心して利用できる蓄電池として、ハイブリッドスーパーキャパシタが近年注目されてきています。
ハイブリッドスーパーキャパシタ(HSC)の特徴と技術的優位性
ハイブリッドスーパーキャパシタは、軽量、長寿命、高い安全性といった特徴を有しており、医療・介護装置に必要な要件を満たすことができます。
軽量、長寿命
- セニアカーや電動車椅子では、鉛電池が使用されているケースが多いのですが、電池寿命は通常3年程度で、被介護者や介護者が取り扱うには重量の負担が大きいというのが大きな課題になっています。
- この点、特に限られたコミュニティでの限定用途であれば、セニアカーや電動車椅子の電源としてハイブリッドスーパーキャパシタは、軽量であり10年以上の期待寿命が得られます。
- また、介護ベッドでも、移動式製品で電源がある場所であれば、リチウムイオン電池以上に長寿命で使えます。又、電池交換の必要性がなくなる為、耐水的にデリケートな電源部も完全防水の一体成形型にすることも可能となるため、介護ベットのまま、浴室等で使用するといった使い方も実現できます。
高い安全性
- 電動車椅子等は、一般的にリチウムイオン電池が使用されるケースがほとんどですが、ハイブリッドスーパーキャパシタは、それらに比べ安全性が高いことが特徴です。
- リチウムイオン電池は、過去、携帯モバイルやパソコンで制御回路の誤動作で過充電となり発火事故が発生しましたが、ハイブリッドスーパーキャパシタは過充電時の熱暴走が殆どない為、リチウムイオン電池よりも安心してご使用頂けます。
急速充電性能
- 病院等のコミュニティでは、電源も要所にあり、充電したい時に充電したい場所でハイブリッドスーパーキャパシタの特徴を活かした急速充電が可能です。
- ハイブリッドスーパーキャパシタは、電池よりも容量は少ないですが、充電場所さえあれば急速充電が可能で、又、ニカド電池やニッケル水素電池に見られるメモリー効果もなく、注ぎ足し充電も可能更に電池に比べサイクル耐久性が高く、繰り返しの使用でも劣化しづらい製品です。
蓄電デバイス比較表
ハイブリッドスーパーキャパシタ(HSC) | リチウムイオン電池(LIB) | 電気二重層キャパシタ(EDLC) | 鉛蓄電池 | |
---|---|---|---|---|
電圧 | ◎ | ◯ | △ | △ |
エネルギー密度 | ◯ | ◎ | △ | ◯ |
安全性 | ◯ | △ | ◯ | ◯ |
寿命 | ◎ | △ | ◯ | △ |