鉄道・地下鉄における回生エネルギーの有効活用
対象業種
- 【製造業】鉄道・地下鉄車両製造メーカー
- 【製造業】トラムメーカー、自動車製造メーカー
- 【製造業】昇降機メーカー
課題と背景
昨今、環境問題で省エネルギー化が叫ばれる中、鉄道業界でも、変換装置の効率化、車両の軽量化、将来的には電動(EV)化も視野に入れて開発が進んでいます。
しかしながら変換装置の効率化・車両の軽量化については限界があり、またEV化についても大型車両がメインの日本の鉄道業界に適した電池開発が必須であり、架線がすでに張り巡らされている日本の鉄道では現実的ではないと言われています。
そこで、エネルギーの有効活用で注目・導入されているのが「エネルギー回生装置」です。
回生電力は、鉄道車両の減速時の運動エネルギーを電気エネルギーに変換することで発生する電力のことで、通常は捨てられるエネルギーです。
鉄道業界では、従来なら捨てられるエネルギーを有効活用する回生システムの導入が進んでいます。そして、それを可能とするのが電力貯蔵技術であり、蓄電媒体を搭載した装置となります。
また、回生装置を導入するメリットはエネルギーの有効活用だけでなく、ブレーキ時のエネルギーによる架線の電圧上昇を抑制する目的もあります。
現在搭載される蓄電媒体としてリチウムイオン電池、電気二重層コンデンサ(EDLC)、そして弊社のハイブリッドスーパーキャパシタ(HSC)があります。
装置は、日本の鉄道ステーション内、または変電所内に設置されるため、小型・軽量化が重要であり、また架線電圧が高電圧の為、安全性も大きな課題となっています。
鉄道は、車両が常に移動しており、加速・減速を繰り返しているという特性があります。
したがって、鉄道のエネルギー回生装置には、短周期での電圧変動を活用・抑制し、効率良く充放電が可能な蓄電媒体が必要になります。
この点、ハイブリッドスーパーキャパシタは、リチウムイオン電池に比べてインピーダンスが小さいため短周期の充放電に適しています。また、小型軽量化という意味でも、エネルギー密度が高いため小型化しやすいという特徴があります。
ハイブリッドスーパーキャパシタ(HSC)の特徴と技術的優位性
鉄道減速時のエネルギーを蓄積し、蓄積したエネルギーを加速時に使用するエネルギー回生システムを構築します。頻繁かつ不定期に発生するエネルギーを瞬時に蓄積することにより、必要なタイミングで蓄積したエネルギーを利用できるようになります。
高い動作電圧
- インピーダンスが高いリチウムイオン電池ではできない大電流の瞬間的なエネルギーの出し入れに対応しています。
- セル電圧3.8Vにて最大48直モジュールを直並列接続することで、高電圧に対応可能。
- EDLC(セル電圧2.7V)対比にて30%の搭載数を軽減することが可能。
高いエネルギー密度
- EDLC対比にてエネルギー密度が高く、より小型軽量化が可能。
短周期変動に最適
- 加速・減速による急激な電流変動を平滑化し直流電圧の変動を低減し電力を安定化。
- リチウムイオン電池と比べ内部抵抗が小さいため、短周期の変動に対応可能で短周期の劣化が小さい。
蓄電デバイス比較表
ハイブリッドスーパーキャパシタ(HSC) | リチウムイオン電池(LIB) | 電気二重層キャパシタ(EDLC) | 鉛蓄電池 | |
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電圧 | ◎ | ◯ | △ | △ |
エネルギー密度 | ◯ | ◎ | △ | ◯ |
安全性 | ◯ | △ | ◯ | ◯ |
寿命 | ◎ | △ | ◯ | △ |